尿もれ(尿失禁)

尿もれは、男女問わず年齢と共に誰にでも起こりうる症状です。しかし、誰にも言えず一人悩まれている方は多いのではないでしょうか?女性の尿道は、男性に比べて5分の1ほどしかなく、また出産や加齢などにより骨盤底筋の低下も起きやすいため、尿もれが起きやすいのです。一方男性は、加齢に伴う前立腺肥大症が原因の尿もれや頻尿で悩まれている方がおられます。これらの症状は、服薬や生活指導などで改善できる場合もあります。尿もれ・尿失禁は、直接命に関わる症状ではありませんが、生活の質に大きく支障をきたしてしまう病気です。症状の度合いは人それぞれですが、お困りの場合は一人で我慢せず、まずは一度受診してみてください。
尿もれ(尿失禁)

尿もれの種類

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみをした時、走った時、重いものを持ち上げた時などお腹に力が入った時に、尿が漏れる症状が出ることを腹圧性尿失禁と言います。膀胱や子宮など下腹部の内臓を下から支えている「骨盤底筋のゆるみ」が原因で、暴行や尿道が圧迫されうまく締められない場合に尿もれが起こります。
女性に多く見られる尿もれです
尿もれで悩む女性の約8割、特に40歳以上の女性の多くが、この腹圧性尿失禁に悩んでいると言われています。骨盤底筋が、妊娠・出産によって傷んだり弱まったりしてしまうのが主な原因です。また、女性に多く見られる便秘や冷え性、更年期などによるホルモンバランスの乱れも原因となることがあります。

切迫性尿失禁

急な強い尿意を感じトイレまで我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。本来であれば、膀胱にある程度の尿がたまると尿意を感じ、脳からの命令で排尿するかどうかはコントロールされていますが、神経の働きが弱って脳と膀胱の連携がうまくいかなかったり、膀胱や尿道の筋肉が弱まっていたりすると、コントロールできずに急な尿もれにつながります。また、膀胱炎や過活動膀胱、骨盤臓器脱も切迫性尿失禁の原因となり、男性では前立腺肥大症が主な原因となっています。

混合型尿失禁

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が混合して発症する状態を指します。この混合型尿失禁も女性に多く見られます。また混合型の中でも、どちらの症状が強く出るかどうかは人それぞれ違います。患者さまの症状に合わせ最適な治療を進めていきます。

溢流(いつりゅう)性尿失禁

尿が出にくくなる排尿障害により、膀胱に尿が溜まっているのにうまく出せずに、少しずつ漏れ出てしまう状態です。溢流性尿失禁は男性に多く見られ、排尿障害を起こす代表的な疾患として前立腺肥大症が挙げられます。その他、脊椎疾患や子宮癌や直腸癌の手術による排尿筋・膀胱の収縮力の低下が原因で症状が出たりもします。生活習慣病である糖尿病も、溢流性尿失禁の原因のひとつとされるため、食生活や生活習慣に気をつけることが大切です。このように、さまざまな原因により引き起こされる尿失禁であるため、原因を特定しそれに対する治療を行うことが必要です。

機能性尿失禁

排尿機能は正常だが、後遺症などで身体機能が低下したり、認知症によって認知機能が低下することで、トイレに間に合わなかったり、トイレで排尿できない場合を指します。機能性尿失禁の場合、生活環境やリハビリ・介護の仕方を見直し、排尿しやすい方法を考え整えていくことが大切です。

治療法について

尿もれ(尿失禁)の治療法は、生活習慣の改善指導、骨盤底筋体操、膀胱訓練、薬物療法などが中心となります。肥満・便秘や、飲水過多は尿失禁の大きな原因となるので、まずそれらの改善指導を行うことは尿もれ改善に効果的です。それら生活面の指導に加え、膀胱の緊張を抑え尿道の締まりを良くするお薬を服用しながら、膀胱や子宮などを支える骨盤底筋を鍛える体操や、尿意を我慢しながら少しずつ膀胱に尿をためることができるようになるための膀胱訓練を行います。ほとんどの尿失禁がこれらの治療で症状が改善が期待できます。薬物療法や体操・膀胱訓練だけで効果が出ない場合、手術が必要となります。このような場合は、適切な医療機関へご紹介いたします。

骨盤臓器脱について

骨盤底筋の低下が進むと、骨盤臓器脱が発生しやすくなります。これは、膀胱・子宮・直腸などの臓器が体外に出てきてしまう疾患です。股に何か挟まっている感じがしたり、ピンポン玉のようなものが触れたりなどの典型的な症状から、ひどい場合は、出てきた臓器が擦れて出血して痛んだり、手で戻さないと排尿や排便がしづらくなることもあります。臓器脱が軽度であれば、骨盤底筋を鍛える体操を続けることで、悪化を防ぐことができ、軽い尿もれは治すことができます。リングペッサリーを膣の中に入れて、臓器を支え出てこないようにする治療法もあります。重症の場合や、体操などで効果が出ない時は、腹腔鏡下仙骨固定術(LSC)やメッシュテープで臓器を支えるTVT/TOT手術が必要です。このような場合は、適切な医療機関へご紹介いたします。

日常生活で気をつけること

尿もれを起こしにくくするため、いくつかのポイントに気をつけて毎日を過ごしてみましょう。

■骨盤底筋体操を続ける
■肥満、便秘にならないよう気を付ける
■水分補給は多すぎず少なすぎず
■適度な運動